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2013年8月 8日 (木)

コラム【研究について】

 「○○について研究しよう!」などとは、よく耳にする言葉。毎年夏休みになると小学生には自由研究の宿題が出されるし、「女心について研究しよう」なんて者もいる。

 しかし、そもそも、「研究する」とは、一体どういうことなのだろうか。それが分からなければ、研究も何もあったものではない。

 わたしは大学を卒業した後、大学院に進学して二年間在籍した。研究テーマはCG、すなわち、コンピュータ・グラフィックス。さらに工学修士の学位を得た後、大手電機メーカーに正社員として新卒採用され、退職するまでの15年間その研究所に在籍した。

 それらの経験や学生時代に教授先生が講義の合い間になさったお話しなどを元に、「研究とは何か」について述べてみたい。

 その前にまず確認しておきたいのだが、研究とはなにも大学の研究機関や民間企業の研究所などに在籍していなくても実行可能なものだ。この文章をお読みのあなたには、ぜひユニークなテーマで独自の研究をなさっていただきたいものである。

 ではあらためて、ここから「研究とは何か」について述べてゆくことにしよう。

 さて、「研究」と似た言葉に「勉強」がある。例えば、小学校の算数の時間には、三角形の面積の求め方などを勉強する。その公式は、

(三角形の面積)=(三角形の底辺の長さ)×(三角形の高さ)÷2

 小学校の算数の教科書に載っているということは、「三角形の面積を求めるには、どうしたらよいか」という問いかけをした人物が過去におり、その答えが明らかにされ、さらにはその答えに至る解法がすでに示されているということである。

 したがって「勉強」とは、「問いかけ」と「答え」と、それに至る「解法」とを明らかにした先輩がすでにあり、そのたどった道筋をトレースするという意味になる。すでに知られていることを我が身に取り入れること、それがすなわち勉強である。

 では、「研究」の場合はどうか。

 それについて述べるために、ニュートンの著書を例に挙げてみよう。

 ここでいうニュートンとはむろん、18世紀のイギリスの物理学者アイザック・ニュートンのこと。「リンゴが木から落ちるのを見て、万有引力の法則を発見した」といわれる、あのニュートンのことだ。

 彼は、「支えるもののなくなった熟したリンゴの実は木から落ちるのに、なぜ支えるもののない月は落ちてこないのか」という新しい問いかけをした。

 その問いかけの答えが、彼の著書『プリンキピア』に示されている。その中で彼は、一言で言えば、月が落ちてこない理由をいわゆる万有引力の法則、すなわち、二つの物体の間には、その質量に比例し両者の距離の二乗に反比例する力が働いているという法則を明らかにすることによって解明した。実は、この著書の中には、ほかにもいくつかの法則が述べられているが、それらについては割愛する。

 ともかくもニュートンは自らの著書の中で、新しい「問いかけ」と新しい「答え」、さらには、その正しさを証明するための微積分法という新しい数学的「解法」までをも提示した。

 研究とは何か?

 その答えが、ここにある。すなわち「研究」とは、「問いかけ」と「答え」、そして、それに至る「解法」のいずれもが新しいことなのである。

 このように考えてくると、研究がいかにエキサイティングな体験かお分かりになるのではないだろうか。過去数千年にわたり、営々として築かれてきた人類文明。その歴史の中で、かつて誰もなしたことのない新しい問いかけを発し、新しい解法によって新しい答えへと導いてゆく。まさに、史上初、人類未体験の地平に達するのだ。

 以上述べてきたことさえ理解していれば、あなたにも好きなテーマを自由に選んで研究することが可能なはずである。

 しかし残念ながら、その研究の成果がノーベル賞級の優れた水準に達するという保証まではして差し上げられない。サッカー好きの子どもの中からワールドカップに出場する選手が現れる割合の少ないこと、お芝居好きの若者の中からアカデミー賞クラスの名優が現れる割合の少ないことなどと同様の理由によってである。

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